BEAMS EYE Sendai, Miyagi

Special Interview

2人の目利きが見つけた 仙台・宮城の宝物たち

イベント『BEAMS EYE Sendai,Miyagi』の
商品セレクトを担当する
BEAMS<fennica(フェニカ)>の
ディレクター、テリーエリスさんと北村恵子さん。
独自の審美眼で各地を飛び回って
セレクトしたアイテムには、
世界のバイヤーも注目しています。
仙台市の新製品開発事業を通じ、
宮城県のさまざまな工芸品の工房に、
幾度も足を運ぶなかで
2人が見つけた仙台・宮城の魅力とは。

Interview 1

グローバルより
ローカルに重きを置いたセレクト

日本を代表するセレクトショップとして名を馳せる「BEAMS」。カジュアルなメンズ、ウィメンズからキッズ、ドレスまで30ものさまざまなラインのレーベルがある中、2003年からスタートしたのが“デザインとクラフトの橋渡し”をテーマに掲げる<fennica(フェニカ)>。同レーベルの店舗がある新宿、原宿、神戸の店内には、ディレクターであるテリー・エリスさん、北村恵子さんが買い付けした服や家具、生活雑器、食品などが並んでいます。そのラインナップは日本をはじめ北欧、ヨーロッパ、南米など国籍はさまざま。その中でも特に目につくのが、沖縄や山陰の民窯の焼き物、染織品など日本の手仕事のもの。
「もとはファッション専門ですが、年齢を重ねるうちに、洋服以外の家の中で使うものも気になり始めました。北欧やミッドセンチュリーのデザインのものや家具が好きになって集めるようになったら、暮らしがもっと楽しく豊かになることに気づいて」と北村さん。しだいにその目は日本の良質なデザインに向くように。「その原点は柳宗理さんのバタフライスツール。海外のインテリア雑誌やカタログで目にした美しい形に魅了されて、日本にもこんなに素晴らしいものがあったんだと。1994年に立ち上げた<fennica>の前身レーベルで取り扱いたいと直接お会いする機会をいただきました」。そこから父である民藝運動の祖・柳宗悦の志を受け継いで柳宗理氏が館長を務める日本民藝館に足を運ぶように。「民藝館で目にした焼き物や民具などの品々の美しさにびっくりしました。そうしたら柳先生から『日本にはまだ素晴らしいものがたくさん残っている。そういうものをたくさん見なさい』と一言」。その言葉に後押しされて、教えてもらった日本各地の工房を訪ねるように。「沖縄のやちむんの窯や山陰地方の出西窯や中井窯、大分の小鹿田焼などたくさんの工房を訪ねました。初めて出西窯を訪ねた時には、柳先生が『とても目の利く人です。エリスをよろしく』とご自身の名刺に裏書したものを預けてくださったので、一瞬で私たちを信用してくださって(笑)」そうして柳氏から直々の薫陶をうけて磨いた目で集めた、日本の手仕事たちが<fennica>に並んでいます。「世界ではクラフトが淘汰されて工業的に作られたものがほとんど。でも日本は先進国だけど、人の手で作られたものが日常的に使えて身に着けられるのが素晴らしいところ。洗練されたデザインのものと力強さと温かさを感じる日本の手仕事のもの、その自分好みのミックスを楽しんでもらいたい」とエリスさんは語り、お客様に提案し続けています。

Interview 2

仙台・宮城の作り手との出会い

テリー・エリスさん、北村さんが仙台・宮城を訪ねるようになったのは、2013年から仙台市が実施した伝統産業高付加価値化支援事業の新製品開発がきっかけ。公私にわたり日本各地の工芸品の工房を訪ね、買い付けするバイヤーの目線から、仙台・宮城の工芸品の新たな価値を見出すため、県内のさまざまな工房を訪ね、数多くの作り手と出会いました。「まず真っ先に思ったのは、受け継がれてきた伝統をとても大切にしている方たちが多いこと、そしてたくさんの人に知って欲しい魅力的な工芸品が数多くあるということ。事業スタートから約半年で商品化を目指すという限られた時間の中、私たちにはどんなことができるのか」を真剣に考えたといいます。
「工房の視察では、まるっきり新しいものを作ってもらうのではなく、昔作られていた作品に改めて光をあてたり、普段の仕事を大きく変えない程度に色や柄合わせなどのポイントを提案させてもらったりしました。私たちはデザイナーではなく、バイヤーなので、作り手の方が気づかない部分を見つけるのが仕事。そこをくみ取って制作してもらったサンプルは私たちの期待以上のもので、宮城の作り手の技術の高さや熱量には驚かされるばかりでした」と北村さんは語ります。「日本は藍の国。青というのはポピュラーな色なのになぜこけしでは使われていないのか?伝統の模様や形はそのまま活かしつつ、青を纏わせたらきっとクールでモダンなこけしができるんじゃないかという思いを仙台木地製作所の佐藤康広さんに伝えたら、その場で染料を調合して青を作り、目の前で描彩してくれたんです。そうして出来上がったのがインディゴこけし。それを見た時は思わず感動したし、今でも忘れられない出来事。ほかの雑誌のインタビューでも印象的なエピソードとしてよく話すんですよ」とエリスさん。伝統を真摯に守る作り手たちと丁寧なやりとりを重ねて生まれた仙台木地製作所のこけしや名取屋染工場の常盤型手ぬぐい、三輪田窯の器は今や<fennica>のスタンダードな商品として、人気を博しています。中でもインディゴこけしは販売当初から話題となり、過去の東京・仙台の販売会ではこけしを求め、たくさんの人が列を成しました。さらにはTVや雑誌、さまざまなメディアに取り上げられるほどに。最近では青を使うこけし工人も増えてきたそう。エリスさん・北村さんのちょっとした気づきと作り手の技術と創意工夫が、時代の流れを作る人気アイテムを生み出したのです。

Interview 3

2人が好きな仙台・宮城のもの

「私たちが数十年前に初めて宮城県に来て行った場所は、大崎市・鳴子にある日本こけし館。たくさん雪が降る中、冬季閉鎖する直前に思い立って、弾丸日帰りで訪ねたんですが、ポストや電話ボックスなど町のいたるところにこけしモチーフのものがあって、町としてすごくおもしろいなと思いました。温泉街でたまたま入ったお店では釜神様との出会いも。そこから釜神様が気になる存在になりました」とエリスさん。仙台市の事業の新製品開発を機に、現在は買い付けや視察で年に2~3回は仙台・宮城を訪れるようになり、2人のお気に入りは現在も増え続けています。「仙台市中心部は都会的でありながらも、ちょっと車を走らせると自然が豊かなのがすごいと思う。秋保の山の中にある海馬ガラスの工房を初めて訪ねたときは、『え?ここも仙台市なの?』って思ったほど」と北村さん。奇岩怪石と清らかな川の流れ、紅葉が美しい秋保・磊々峡や栗駒山周辺も印象的なスポットだそう。
風光明媚な場所はもちろんのこと、食も仙台を訪ねる楽しみのひとつ。「もう定番中の定番ですが、エリスは牛たんが大好き。あとは『根っこも食べるの!?』とびっくりしたセリ鍋は冬に仙台を訪ねたときのマストメニューになっています。初めて見たときはお皿にこんもりと盛られた新鮮なセリのインパクトあるヴィジュアルにびっくり!滋味たっぷりで大地の味を食べてるって感じですよね(笑)友人などに仙台のおすすめは?って聞かれたときには、『ぜひ食べて』ってすすめているほど」と北村さんは語ります。お酒が好きなエリスさんは「お米、水がおいしいから、日本酒がおいしい。あとはなんといってもウイスキー。以前訪ねたニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所はロケーションも素晴らしいけど、そこでしか味わえない、買えない限定のウイスキーは、ロンドンの自宅に持ち帰って少しずつ大切に飲んでいます」。
今回のイベント『BEAMS EYE Sendai,Miyagi』で販売される工芸品や食品は、どれもお2人自身がセレクトした、他の人におすすめにしたい、お土産にしたい、自慢の逸品ばかり。中には宮城でしか購入できないプレミアムなアイテムも多数揃っています。「私たちのフィルターを通して選んだ商品から、仙台・宮城のモノの素晴らしさ、魅力を感じてもらえたらうれしい。そして実際に足を運んでみて欲しいと思います。仙台・宮城には宝物がいっぱいですよ!」

Favorite

  • ウイスキー伊達

    部類のウイスキー好きであるエリスさん。「シングルモルトが好きだけど『伊達』は別格。バランスがいいブレンデッドウイスキーでとても気に入っています」と絶賛。原酒が生まれる、自然豊かな宮城峡蒸溜所もお気に入りのスポットです。

  • 釜神様

    宮城県と岩手の限られた一部地域だけに伝わり、台所やかまどの家に飾られてきた釜神様はアフリカの面にも通じるような土着的な雰囲気が魅力。クリや朴の木など固い木を彫って作られていて、顔立ちはさまざま。一見怖いけど、その力強さとおもしろさに心ひかれます。

  • あけび蔓細工

    里山に自生するあけびの蔓を採取し、この道45年の職人が丁寧に編み上げています。すごく目が細やかで丈夫。使い込むほどに増していく風合いは蔓細工ならではで、長く暮らしに寄り添ってくれます。エリスさん自身もカゴを愛用中。

Movie

手とてとテ 仙台・宮城 手しごとの旅

エリスさん、北村さんが宮城県内のさまざまな工房を訪ね、職人とともに新しい商品を生み出していく様子を追ったロードムービー。仙台木地製作所のインディゴこけし、名取屋染工場の手ぬぐいはここから誕生しました。<2014年>

BEAMS<fennica>のものづくり

エリスさん、北村さんのものづくりムービー第2弾。石巻・三輪田窯の器、仙台木地製作所による石原日出男の復刻創作こけしなど、今やfennicaの定番として人気が定着したアイテムが生まれました。<2015年>